気体の加熱温度で数十度の誤差が出て困っています。

空気やガス類はそれ自体の熱容量が小さいため、液体に比べ温度制御が困難です。

  • 公称プラスマイナス3度Cのサーモスタットを使っていても、条件によっては数十度の誤差が生ずることも珍しくありません。
  • 温度コントロールの精度を上げるには
    1. ヒーターの回路構成や配置を最適化する
    2. センサーの感熱部分の熱容量を極力小さくする
    3. センサーの感熱部分の設置場所を制御目的に沿うように設置する
    4. さらに精度を上げるには、感熱部やヒーター自体の応答性(時間遅れ)をあらかじめ補正できる機能(たとえばPID)をもった制御を行う必要があります。

温度調節におけるヒント

価格と精度と便利さのかねあいで温度調節は決まります。
以下にヒーターエレメントと温度調節(温調)機器の組み合わせについてまとめました。
 
詳しくは、日本ヒーターへお問い合わせください。

  1. ヒーターをベースヒーター[BA-H]とコントロールヒーター[CO-H]の回路に分ける
  2. 大電力(10kW以上)のヒーターは2回路以上に分ける
    • 個々のヒーター電力を小さくすることで、発熱線や端子をコンパクトにまとめます。
    • 回路を分けることにより接続部分の電流が分散され、端子部分の接触抵抗熱が減少します。
    • 外部電線を必要以上に太くする必要がなく、配線の取り廻しが楽になります。
  3. ヒーターエレメントは同形状で同電力のものを使用する
    • 平均に負荷がかかり、均一な発熱により温度コントロールもスムーズになります。
  4. 予備のヒーターを用意しておく。
    • ヒーターは消耗品であり、予備のヒーターを持っていればいざというときあわてずにすむ。但し、保管条件(特に湿度)には十分ご注意を。
    • 大型ヒーターの場合、あらかじめ予備のエレメントを組み込んでおくと、結線を替えれば加熱物の増加、急速加熱の必要性、予熱時間の短縮、ヒーターの損傷などに即応できます。
  5. 目的や用途に応じ最適な温度調節機器を選択する
    1. 単相(小電力)の場合2本のエレメントを直列・並列と結線を替えて電力を1/4、1/2にしたり、スライダック(スライド式電圧調整器)で電圧を落として電力を調整する。
    2. 3相の場合はデルタ結線のヒーターをスター結線に替えることで電力を1/3にすることができます。デルタ結線で短時間に所定温度に達したら、スター結線に替えて熱均衡を保つようにすれば温度調節設備が簡略化できます。
    3. あるいは回路数を増やして多段温度調節(ステップコントロール)をしてください。

      ただし、スター結線で設計されたヒーターをデルタ結線に替えるとヒーター電力は3倍になり、ヒーターが損傷する危険があります。
    4. 精度を要さない温度調節にはON-OFF制御を推奨します。
      この際、[BA-H][CO-H]の組み合わせが最適です。
    5. サーモスタットを使わずに、タイマー2個の時間設定で無段階にON-OFF制御することもできます。
    6. 精度を要する場合は電子回路の組み合わせによるPID(比例・積分・微分)制御方式をおすすめします。
      温調機器も取り揃えていますので、詳しくは日本ヒーターへお問い合わせください。
    7. センサー(感熱部)の種類、形状、ヒーターとの位置関係により、コントロールがスムーズに行かないことがあります。
    8. 熱電対使用のばあい、極性(+・-)に注意して下さい。また、ゼロ接点の補正が正しいか、補償導線が適性か、再確認をしてください。

    「温度調節機器・温度センサー取扱上の注意事項」もご参照下さい。

  6. 電源電圧を確認する
    • 電源電圧200Vのヒーターを購入したが、実際は220Vあった。ということはよくありますが、ヒーター電力は電圧の2乗できいてくるので21%も上昇してしまいます。
    • 気が付かずに使用し続けると、しばしば温度調節回路が働きヒーターに過負荷がかかることになって寿命を落とします。
    • 電源電圧に合ったヒーターを使うとコントロールがスムーズです。
  7. ヒーターエレメントの配置を最適化
    • センサーの近くは温度が正確でも、炉内や槽内全体では温度がばらついてしまうことがあります。
    • [BA-H]と[CO-H]をそれぞれ熱むらのでないように配置することが必要です。
      1. ヒーターの位置は低く、広く
      2. 扉や取り出し口付近はヒーターエレメントの本数を多く
      3. 中央部などの熱の集中部分は本数を少なく
      4. 気体加熱の場合エレメントにフィンを巻き付け放熱効率をあげる
        例えば:エロフィンヒーターの利用を検討する
    • 温度調節の負担を軽くする(省エネ設計)
      1. タイマーの連動により予備加熱時間を設定する
      2. 保温材を厚くする
      3. ふたや前室を設置する
      4. 排熱を利用する
    • その他の注意点:温度過昇防止装置
      • 温度調節をしているから設定温度以上には上がらないだろう・・・。しかし、予測できないできごとで、ヒーターを損傷したり最悪の場合容器が爆発・発火したりします。
      • 万一温度調節器が作動しなかったり、誤って温度設定をしたまま運転したり、センサーの回路に異常が発生したり、
      • 送風機や攪拌機などでは、それらがなんらかの理由で停止したり、被加熱物を入れ忘れたり(空焼き)、
      • 液体加熱の場合事故で液体が漏出・蒸発したり、被加熱物流出口のバルブが閉まったり・・・。

安全対策(推奨)

  • 手動復帰型の過昇防止装置をぜひ取り付けてください。
  • 温度フューズ、圧力スイッチ、水位スイッチ、風速スイッチなども必要に応じて併用し、冗長設計を行ってください。

「温度調節のヒント」もご参照下さい。