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設計資料

電源電圧・電流と抵抗値およびヒーター電力の関係

接続方法と計算式

目 次

  1. 電気抵抗の接続と計算方法:ヒーターの接続方法と注意点
  2. I・V・P・R 計算式早見表I・V・P・Rの計算式早見表
  3. 電圧の変化によるヒーター電力の変化:ヒーター電力はV2に比例します。
  4. 単相交流電源における電流値の求め方:I=P/V
  5. 3相交流電源における電流値の求め方:I=578*W[kW]/V、I=0.578*P[W]/V
  6. ヒーターの電力別線電流と抵抗値:例:3相200Vで3kWおよび5kWのヒーター

1.電気抵抗の接続と計算方法

注意:電気ヒーターは「抵抗(R)」である。

ヒーター(電気抵抗)の接続方法と計算式

No. 結線方法
(記号)
説明
1 シリーズ
(S)

直列にヒーターを接続する。
合成抵抗R=R1+R2

ただし、R1=R2の場合、R=2R1

q
2 パラ(P) 並列(パラレル)にヒーターを接続する。
111
───
合成抵抗R
R1
R2

ただし、R1=R2の場合

1
1
1
2
───
合成抵抗R
R1
R1
R1
したがって、
R
R1
2
3 スター(Y)

星状にヒーターを接続する。:3相交流用
U-V=200Vのとき、U-O間の電圧=116V

スター結線されている3本のヒーターエレメントのうちの1本が断線すると単相運転となり、
電力は1/2

4 デルタ(Δ)

環状にヒーターを接続する。:3相交流用

デルタ結線されている3本のヒーターエレメントのうちの1本が断線すると、V結線となり、
電力は2/3

5 スター<-->デルタ結線替え デルタ結線のヒーターをスター結線にすると、電力は1/3
スター結線のヒーターをデルタ結線にすると、電力は3倍
6 2本パラ・デルタ

ヒーターエレメント6本で、2本一組(並列接続)としてデルタ結線する。
1本のヒーターエレメントが断線した場合、電力は5/6

7 2本パラ・スター

ヒーターエレメント6本で、2本一組(並列接続)としてスター結線する。
1本のヒーターエレメントが断線した場合、著しくアンバランスになる。

並列の他の1本のヒーターが切れ易くなるため、できるだけこの結線方法は避ける。

どうしても必要な場合は、O点を独立とする。

8 2本シリーズ・デルタ

ヒーターエレメント6本で、2本一組(直列接続)としてデルタ結線する。
1本のヒーターエレメントが断線した場合、電力は2/3

9 2本シリーズ・スター ヒーターエレメント6本で、2本一組(直列接続)としてスター結線する。
1本のヒーターエレメントが断線した場合、電力は1/2
10 ヒーターの取り外し(絶縁低下) 絶縁が低下したヒーターエレメントは、必ず両端子とも電源コードを取り外すこと。
片側のみ取り外せば電力は消費しないが、もう一方の端子が接続されたままだと回路全体の絶縁は改善されない。
11 仕様と異なる使用

例 題
100V-100W(電気抵抗はR1=100オーム)のヒーターと100V-60W(電気抵抗はR2=167オーム)のヒーターを2個直列につないで、200Vの電源電圧を印加するとどうなるか?

注記
100V-60Wのヒーターとは、電圧が100Vの電源に接続した場合に100Wの発生熱量があるヒーターです。電源電圧が異なれば、熱の発生量も異なります。

答 え
100V-60Wのヒーターが、200Vでは94Wとなり、短寿命などの不具合が生じる。

計算式

電流I=電圧V/抵抗R(合成抵抗=R1+R2)
=V/(R1+R2)
=200/(100+167)
=0.75A
電流値はR1とR2で一定になることから、

電力W=(電流I)2X抵抗R

より個々のヒーター電力Wを求める。

100W(R1=100オーム)のヒーター:0.752X100=56W

60W(R2=167オーム)のヒーター:0.752X167=94W

参考:

日本ヒーターのネジ込みヒーター(GA型ヒーター)は、エレメント3本構成でヒーター電力により、デルタ結線とスター結線を使い分けています。
ネジ込みヒーターのターミナルキャップを外すと、ブスバー(Bus Bar:結線板)により図のように結線されていますので、結線方法はすぐにわかります。

2.I・V・P・R 計算式早見表

I・V・P・R 計算式早見表
I・V・P・Rの関係をまとめたものが、「オームの法則と電力」である。
内側の円が式の左辺(求める値)を、外側の円が右辺(計算式)を表している。
オームの法則
電気回路に流れる電流Iは、電圧Vに比例し、電気抵抗Rに反比例する。
これを式で表すと
I=V/R

式を変形して
V=IR、R=V/I
電力Wの計算
抵抗R[オーム]に電圧V[V]が印加され、電流I[A]が流れたときの電力W[W]は
P=IV=I2R=V2/R [W]
と表される。

3.電圧の変化によるヒーター電力

電圧V[V]において電力W[W]となるよう設計されたヒーターに、異なる電圧V'[V]を印加した場合、発生する熱量(ヒーター電力)W’を計算する式

P’=P X (V’/V)2 [W]

と表され、電圧の変化に対し2乗で影響を及ぼす点に注意が必要。

4.単相交流電源における電流値

電流I[A]、電力P[W]、電圧V[V]としたとき
I=P/V

5.3相交流電源における電流値

電流I[A]、電力P[kWまたはW]、電圧V[V]としたとき
I=578XP[kW]/V [A]
I=0.578XP[W]/V [A]


200V、3相、1kWの場合、
I=2.89[A]=578/200 を覚えておくと便利。

注記
交流電源の場合、電流と電圧の位相が異なり、力率(cosφ)が低下することがある。
ただし、回路中にヒーター(電気抵抗)のみで、コイルやコンデンサーがない場合、電力はヒーターだけで消費される(力率=1として計算する)。

6.ヒーターの電力別線電流と抵抗値

電源電圧3相200V、電力3および5kW、ヒーターエレメント3本構成で、デルタおよびスター結線したヒーター回路を考える。
この回路で3本のエレメントのうち1本が断線した場合について検討した。

3kW・5kW のヒーターにおける、電流・U-V間抵抗

200V3相
(名称など)
エレメント構成図 結線図 ヒーター電力3kW ヒーター電力5kW
電力[kW] 電流[A] U-V間抵抗
[Ω]
電力[kW] 電流[A] U-V間抵抗
[Ω]
1)デルタ結線
デルタ・リング(環状)
3 8.67 26.7 5 14.45 16
2)スター結線
スター・ワイ(星状)
3 8.67 26.7 5 14.45 16

3)デルタ結線
エレメント1本断線

(デルタのV結線)

2 5
(V相のみ8.67A)
40 3.33 8.3
(V相のみ14.45A)
24

4)スター結線
エレメント1本断線

2本シリーズ結線(欠相と同じ)

1.5 7.5 26.7 2.5 12.5 16

関連ページのご紹介

  1. 加熱用途の分類やヒーターの種類などについては、電気ヒーターを使うヒントをご覧ください。
    各用途のページには、安全にヒーターをお使いいただくためのヒント(取り扱い上の注意)もあります。
  2. シーズヒーターとはなに?というご質問には、ヒーターFAQでお答えします。